【プロジェクト全般について】
Q) どのようなプロジェクトですか
→AMED:国立研究開発法人日本医療研究開発機構・再生医療研究開発課の再生医療実現ネットワークプログラムの事業です。疾患特異的iPS細胞の活用を希望するが、iPS細胞に関する実績や技術があまりない研究者(疾患研究者)と、iPS細胞の樹立や利用のノウハウを有する研究者(iPS細胞研究者)をマッチングし、共同研究を進めます。京都大学iPS細胞研究所が代表機関(事務局)となって事業を実施します。
Q) 何を解析するのですか
→疾患研究者とiPS細胞研究者の共同研究として、難治性疾患の患者さんから樹立したiPS細胞を用いて、疾患の病態解析や治療法開発を行うことが最終的な目標です。
Q) 対象となる疾患は?
→iPS細胞を用いて解析が可能な疾患、解析することに意義がある疾患が対象となります。iPS細胞の研究では分化誘導が可能な細胞種がある程度制限されるので、対象となる疾患の表現型が得られそうな細胞種を分化誘導できる必要があります。疾患研究者の方は、レジストリ登録後にiPS細胞研究者の情報を閲覧することができますので、対象となる細胞種を分化誘導可能なiPS細胞研究者とのマッチングを希望してください。
Q) 採択の基準はありますか
→マッチング希望として応募された計画の採択は、マッチング課題運営委員会で審査されて採択課題が決定されます。
Q) 誰が登録できますか
→大学、研究機関の教授、准教授、助教、研究員など、研究費を受けられる研究者が対象になります。(雇用される経費によっては専念義務などがありますので受けられない場合があります。)
【研究費について】
Q) 研究費用はどうなりますか
→研究にかかる費用は代表機関の京都大学iPS細胞研究所から、iPS細胞研究者側に再委託研究費として配分されます。疾患研究者側には配分されないのでご注意ください。
Q) 研究期間は決められていますか
→本研究費は単年度使いきりですので、採択年度の年度末までに使用していただく必要があります。
Q) 単年度の研究費ということですが、次年度以降の延長はありますか?
→基本的にありません。マッチング課題の目的は、共同研究の促進ですので、予算を共同研究体制の構築に使っていただき、次年度以降で疾患関連の研究費に応募していただけますようお願いいたします。
Q) 直接経費500万円とのことですが、どのような費目が想定されていますでしょうか?一部の作業を外注することは可能でしょうか?
→マッチング課題事務局からの再委託となりますので、通常のAMEDのグラント同様に使用していただくことが可能です。
【研究目標について】
Q) 計画が採択された場合、達成すべきノルマはどういったものがあるでしょうか?
→本研究費で樹立したiPS細胞は、理研バイオリソースセンターへ寄託してくださいますようお願いしております。その他の達成目標は課題内では設定しておりませんが、進捗状況をAMEDに報告する必要があるので、何らかの情報提供をお願いする可能性があります。
理研バイオリソースセンターのiPS細胞バンクの情報は下記をご参照ください。https://cell.brc.riken.jp/ja/hps?doing_wp_cron=1602497445.9668340682983398437500
なお、AMED委託研究費を使用してiPS細胞を樹立したときの寄託条件として、以下が求められています。
・作製したコントロール細胞(健常人、患者血縁者、ゲノム編集した遺伝子改変株等)についても、寄託してください。
・寄託する際には利用条件を付けることが可能ですが、研究促進の観点から、なるべく利用制限を少なくしてください。「寄託者の承諾を必要としない」「寄託者との共同研究を必要としない」「営利機関の利用も可能である」ことを必須とします。ただし、海外機関(含営利機関)への提供に関しては、上記は任意とします。
Q) 意味のある結果が得られない場合はどうなりますか
→全てのケースで表現型が再現できるわけではないと考えています。その場合もマッチング研究の実績として取り扱われます。樹立したiPS細胞は理研バイオリソースセンターへの寄託をお願いしています。
Q) この研究課題のアウトカムは「創薬開発」でしょうか、「モデル作成」までなのでしょうか。
→課題のアウトカムは「モデル作成」となります。実際「創薬開発」まで進められると理想的ではありますが、単年度の研究費ですので、時間的な制約があるかと思われます。
【対象疾患などについて】
Q) 今回のマッチング事業は、まだiPS細胞化していない疾患をターゲットにしているのでしょうか?改めて患者様から血液を頂く状態から始める場合は、該当しないものなのでしょうか?
→本事業の趣旨は、iPS細胞へのアクセスが難しい疾患研究者の先生に、マッチングの機会を提供して研究を進めてもらう、ということなので、基本的には新規患者さんからの樹立を想定しております。この場合、AMED推奨の説明文書・同意書を使用していただき、同意取得をして頂くことが原則となります。すでに患者さん検体がある場合も可能ですが、iPS細胞樹立に関して同意が取得されていない場合は、再同意の取得が必要と思われます。ただ、予算はiPS研究者側に配分されますので、iPS細胞側の研究者の先生方には、樹立や分化などの解析を実施していただく必要があります。
Q) 細胞移植治療への応用など、疾患iPS細胞が関係ない研究は今回の応募の対象外でしょうか?
→本事業の対象外となります。
Q) すでに診断がついているが、「どのように(特定の)症状の発症に寄与するか明らかになっていない疾患」の研究は対象外でしょうか?
→すでに診断がついていても、病態解析上有用であれば意義はあると考えられます。例えば、遺伝子診断がついたが、表現型解析ができていない患者さんについて、iPSを用いて解析するという研究は該当します。iPS研究者と疾患研究者でご相談いただき、解析意義があるということでしたら、マッチングの可能性があります。
【マッチング相手の選定方法・応募について】
Q) マッチングで相手候補が現れたが、話し合いの結果成立せず、ということでも構わないでしょうか?
→そのような結果になることも十分考えられますので、問題ありません。
【研究の進め方について】
Q) 疾患研究者側からの依頼を受けてiPS細胞を作製するという内容でしょうか。或いはiPS細胞研究者側が既に作成済みのiPS細胞を用いて疾患研究者側が解析を行う内容でしょうか。
→この課題では、研究したい疾患があるが、iPS細胞を用いた研究に不慣れな疾患研究者に対してiPS細胞の研究者のマッチングを行い、研究の裾野を広げることを目的としています。よって「疾患研究者側からの依頼を受けてiPS細胞を新たに作製する」というのが趣旨に近いかと存じます。実際には予算はiPS研究者側に配分されるため、iPS細胞側の研究者の先生方には樹立や分化などの解析を実施していただく必要があります。分化誘導法などの技術移転をする場合も、iPS細胞研究者側の研究室に疾患研究者が来ていただくことになるかと存じます。
Q) 疾患研究者側からご提案を受けた症例・細胞を用いて、iPS研究者側で何をどこまで行うのでしょうか?
→疾患研究者とiPS細胞研究者で役割分担を相談していただくことになりますが、配分がiPS細胞研究者側ですので、主にiPS細胞研究者側で実験をしていただくことになるかと思います。iPS細胞樹立、分化誘導のどの段階まで進めるかは対象疾患等によっても異なると考えられます。最終的には病態解析に進めていただくことになりますが、期間と予算が限られているため、必ずしも病態解析をこの研究費の範囲内で進めていただく必要はありません。
Q) iPS研究者が樹立細胞を疾患研究者の方に提供した後も、独自の解析や研究に使うことは可能でしょうか?
→共同研究としてご了解いただけるようでしたら可能かと思われます。
Q) どのような倫理的手続きが必要でしょうか?
→疾患iPS細胞の樹立に当たっては、患者さんの試料を採取する機関と実際にiPs細胞の樹立や解析を行う機関それぞれで倫理審査を受ける必要があります。現在、一括して審査を受けられるように中央倫理審査の体制構築を進めていますが、個別に審査を受けていただいても結構です。
Q) 疾患研究者側が委託を受けて樹立した細胞を用いて、疾患研究者側とは異なる解析・研究を行うことは可能でしょうか?
→疾患研究者側の許可がありましたら問題ないと考えます。